クローバー
てた。」

そこへ、

「れ〜い〜!何、旦那さんいじめてるの。」

殴る。

「いだっ!」
「真治に浮気なんてさせないわ。浮気なんてしたら知られたくない過去ばらしてあげるんだから!」
「知られたくない過去?」

沙衣は焦り、

「くどかったナンパとか臭すぎるプロポーズとかよ、まだまだ探したらあるんだから。」
「…。」

(モデルの事言ったら沙衣も首を絞める事になるよ…。)

「そんなにナンパくどかったの?」

真治が聞くと、

「かなりね。でも、こんなにいい人、幸せよ。」
「浮気なんてしない。一人しかいないかわいい妻以外の女にはどんな感情も芽生えない。」

ちゅっ。

「バカじゃない?」「信じないと夫婦なんてできないわ。」
「ふふふ、かわいい。嫉妬するのもかわいい。」
「浮気させないけど。嫉妬はしないわ。私以外の女性になんて向いて欲しくないもん。だからかわいくいたいもん。」
「充分かわいい。」

ちゅっ、
ちゅっ。

ラブラブ。

「…見せ付けられちゃって。礼衣君が赤くなってるんだけど実家で堂々とキスなんてできないな…。お義父さん達がいるのに。」

遥紀が言うと礼衣は、

「姉さんの部屋でちゅっちゅしてたくせに。殴りに行こうかと思った。姉さんを犯して孕ませた憎い男。父さんと僕にぼこぼこにされて、姉さんは助けられない悔しさと、悪阻でふらふらになって、それでも守るんだから。」
「…。」
「まあまあ、あれはあのまま引き離したら、父親の愛情を知った茉莉ちゃんや、後に生まれてきたハルカ君やお義姉さんが苦しんだはずだ。そんな事したらお義兄さんも一生苦しむ。罪を背負って、廃になるだろう。お義姉さんに流した涙は何も偽りがないのだから。お義姉さんも、みんなを敵にまわす覚悟して、お義兄さんと愛し合って、そして命が宿った。責めるべきではない。沙衣をよく呼んでいたお義姉さんが呼ばなくなったのは、駆け落ちして、家族でいることを選んだから。その前にはすごく悩んでいたし。会うべきか会わないべきか、知れてしまった茉莉ちゃんの存在、きっと気付いている父親だという真実。苛酷な運命に巻き込んでいいのか?」
「お義兄さん、会ったんでしょ?駆け落ちする日より前に、お義姉さんと。」
「…会ったよ。茉莉が娘だと確信して追
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