クローバー

…うえっ…。」


「礼衣、やめなさい…。」

ぐたっ。
遥紀を殴る礼衣。
聖華は、

「礼衣、止めて！？」

抱き寄せる。
気を失っている遥紀。


「本当は父親の正体に気付いていたの。」

礼衣は聖華を抱き寄せ、キス。

「オレは聖華と会えたから変われたんだよ。」
「…。」
「嘘じゃない。それまで結婚するなんて思ってなかった。男を信じられなかったし、自分も男だけど、大切にしたいけど男はああだから同じように傷つけるなんて。自分の深層の部分を信じられなかったから、傷つけるなら付き合わないと決意していた。聖華に出会うまでは…。」


礼衣は高校３年生。吹奏楽部でユーホニウムを吹いている。彼女はいなく、（作る気もない）友達とにこにこ話してるくらい。

「真田、彼女作ればいいのに。顔はいいしモテるんじゃないか？」
「彼女なんて必要ない！疲れるだけだ。」

大会などで楽器を運ぶのに、女の子のチューバはかわいそうなので持つことになっている。１年は３年が運ぶ事になっている。
礼衣は、何もしきたりの知らないチューバの１年生部員に、

「階段降りるの大変だから運ぶよ。」

と言う。

「え？」

１年生は戸惑う。

「楽器を替えっこだ。ユーホならそれほど重くないだろ？」
「…ありがとうございます。」

運び終えると、

「どうぞ。」

にっこり。

ドキドキ…。

「あ…あの…ありがとうございます。」
「しきたり。男は紳士であるべし。重い楽器の女の子の運搬時は男が運ぶ。１年は、すぐに引退してしまう３年。学年、性別を越えて少しでも仲良くなるように。チューバは、男子トロンボーン、ユーホの担当。誰が運ぶかは目印はケースのリボンの色。僕はピンクリボンのチューバ、略してピンチ。もし、黄色チューバ女の子で、持つ人がさぼってたら、キチ、来い！ってね。チューバ、バリサク、コントラバス、ファゴット、バスクラ、パーカッションの人が対象だ。一番もめるのが２年、３年が引退するまで同じ学年の楽器を運ぶから、お前かよ！！ともめるんだ。さぼったら罰があるからね。反対に、３年の女子の楽器は１年が担当。なかったかな？１年男子だけの会議。それを決めてたんだ。」
「あ…あの…。」
「あ、ごめん、名前忘れてた。最初