クローバー

「姉さんも僕も、おじいさんとよく買い物行ったよね。おじいさんが生き生きしてるの。僕も、今そこで寝てる人もおじいさんになったらどうしようもなくなるんだ。」

茉衣は笑って、

「それより先に、うちの娘は渡さない!?って怒りそうね。」
「…あのなぁ、この人のしてきた事はいけない事だよ。」
「…同じ事はさせたくないでしょ?遥紀は後悔してるよ。最初は病んでたくらい。多分今でも言わないだけで残ってる。それを癒すのは家族の笑顔だと思ってる。毎日のキスは欠かせない。私の旦那さんは遥紀しかいないの。」
「…。」
「じゃあ私も横になろうかな?茉莉が帰って来るまで。私は後悔してないよ。茉莉とハルカと茉菜は望まれて生まて来た。間違いだといくら礼衣に否定されても遥紀を守る。礼衣の誇りは何?かわいい息子とかわいいお嫁さん。家族、友達。すべて望んだものじゃないの?礼衣。」

茉衣は礼衣の頬に手を触れて、

「激情に流されて激しい礼衣。でも素直なところも好きよ。自慢の弟なんだから。」

茉衣は眠っているハルカを優しく抱いて、遥紀と向き合うようにごろんと横たわる。

「遥紀、大好きだよ。」

優しく触れる。

「ん…茉衣。」

寝言を呟く。

「そうだよ。」

ちゅっ。

茉衣は遥紀に優しくキスをする。茉衣もすやすや眠る。茉衣に抱かれたハルカは寝顔もにこにこしている。甘えているようだ。茉衣が茉菜を妊娠して、産んでからなかなかハルカまで行き届かなくて、拗ねて茉莉に甘えっぱなしだったハルカ。母親の温もり。礼衣は、

「姉さん強いな。僕なんて到底かなわない。」

くすくす笑って、

「ハルカ幸せそう。姉さんもたまには構ってあげなよ。拗ねてるのがわかる。茉菜につきっきりなのはわかるけどハルカだって母親が恋しいんだぞ。ハルカ、本当に甘え上手だね。」

聖華は、

「あれ?お義姉さんも寝ちゃった。」
「なあ聖華、ハルカのあの幸せそうなカオを見てみろ。」
「ん?あ、本当だ。そりゃあママに抱かれたら嬉しいよ。ハルカちゃん贅沢だね、パパとママに囲まれて。」

聖華は礼衣を抱いて、

「礼衣と結婚して良かった。」

礼衣は聖華に甘いキスをして、

「そんな事言ったら今にでも倒してしまうよ。」


「ただいま。」
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