クローバー
「…いい娘だ。」

父は茉菜を抱く。

「おじいちゃん?」
「かわいいなぁ。孫はかわいいものだ。茉莉、ハルカ、茉菜、麻紀、紀里。私は幸せだ。」


「えぇ!?先生もオメデタですか!?」
「何よ、そりゃぁ私だって…。」
「いや…遥紀の義理のお姉さんもオメデタで。」
「あら、そうなの?」
「仕方ないよ、多恵子。7人目だし…。」
「誰のせいで妊娠したと思ってるの!」
「…ごめんなさい。」
「幸せだよ。政治さんの赤ちゃんが生めるなんて至福だわ。」
「あぁ、私達の子供。嬉しいよ。マサにはあげない。」
「私も、私たちの子供です。でも、そろそろ留めてね。結構7人はきつい。」
「…はい。」
「どういう生殖能力持ってるのですか…?」
「ははは…私は多恵子を抱くのが好きなのでね…。いつまでも恋人でいたいのだよ。それはあなた達を見たときから変わらない。」
「結婚前に助けてもらったから。あの時はどうしようもできなくて、思い通りにさせられてた。あのまま助けて、抱いてくれなかったら私達は恋人でいられなくなっていたと思う…。」
「思い出さなくていい。」
「同じ過ちがあってはならないわ。」

多恵子は子供達が聞いていないのを確認して茉衣に、

「私、ストーカーに襲われてるの。たくさんキスされて、胸を触られて、男のものを触らさされてるの。ストーカーは、私の盗まれた下着を着けて、私の捨てた口紅を塗って…気持ち悪かった。好きな人以外のキス。するものじゃないわ。でも、政治さんに助けられた。たくさん抱いてくれた。その時かな。この人と一生生きたいと。前から思ってたけどそれが決定打かな。待っていたのは、政治さんから聞きたかったから。好きな人からなら待てる。そしてプロポーズされた。あの日、同僚が結婚を祝って開いた飲み会。政治さんが私がお酒が得意じゃないのわかっていたから、運転手に飲ませる訳にはいけないと庇ってくれたこと。ヒューヒュー言われたけど本当に嬉しかった。深酒させてごめんね。次の日、私が気遣わなかったから焦らせてごめんね。」
「そんな…オレが避妊しなかったから…。」
「妊娠した時、政治さんの子供だと思ったら幸せで。悪阻は不安だったけど。パパから責められて、誤って突き飛ばされて流産しかけた時、何よりも赤ちゃんが心配だった。だって好きな人の子供よ。お腹に
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