クローバー
複雑な再会−元カノとその娘…
「茉莉、起きなさい!」
「う…ん。」

女の子。眠たそうで、寝癖がついている。

「早くしないと学校遅刻するよ。あと10分で集団登校でしょ?」
「え…。」

走る。

どたばたどたばた。

「…もう。」

母は呆れる。


しばらくすると、娘はランドセルを背負って、上履きを持って、靴を履いて。

「いってきまぁ〜す。」

母は、

「茉莉、お守り忘れてる。」

そう言って、小さな巾着袋を持ってきて、ランドセルの中に入れる。

「あと一つすることは?」

ちゅっ!

娘は母にキスをする。

「いってらっしゃい。」


娘は走る。


集合場所。
親友の汐菜は、
「茉莉遅い!」
「…ごめんなさい。」


学校。
4年1組。

担任の先生。
出席確認。

「真田茉莉さん。」
「はい。」


冬休みが始まる。
クリスマスイブ。

茉莉はルンルン。髪を母に結ってもらい。お気に入りのコート、ニットワンピ、ブーツ。
茉莉は母と仲良く手を繋いで歩いている。

「ラジオ、ラジオ。」

茉莉は言っている。
母は、

「楽しみだね。」

と言う。


入口。
抽選券。

「177番だ。ママは?」
「178番だよ。」
「何が当たるのかな?」


「今日はクリスマスイブ。プレゼントもアルヨ! SANTA CHRISTMAS Live on sunday 今日はクリスマスイブだよスペシャル!DJは、今日にピッタリな名前なくせして、29の独身、幸薄い、サンタことDJサンタです。…自虐してます。」


「始まったね。」

茉莉は言う。
茉莉はワクワク。

「…うん。」

母は何か複雑そう。

「ママ、ひざの上に座っていい?」
「いいよ。」

茉莉は母のひざの上に座る。
母は茉莉を優しく包み込むように抱く。


番組は進んでいく。


「それでは今日の超目玉、CHRISTMAS PRESENT!大きな熊のぬいぐるみ。サンタさんのカッコしてるよ。この抽選箱に入ってる中から引いた一名様に当たるよ。お子さんに当たって欲しいな〜。ではいくよ〜。」


茉莉はドキドキ。

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