クローバー
日常。ちょっとした奇跡。
遥紀は仕事へ(売れっ子)
ラジオ局。
プロデューサと話している。
プロデューサは茉莉の事でしっかりしないとという気持ちと茉衣の妊娠の嬉しさでカオが不安になったりほころんだりする遥紀に、

「何かあった?」

と尋ねる。
(プロデューサも29)

「ああ、籍を入れようと思ってる。」
「へ?…ハル、彼女しばらくいなかったはず。聞いたのはハツコイのせつない別れ、それは大学でハルに会う前の話…。それから、結婚はしたくないと言っていたはず…。」
「彼女を妊娠させた。」
「は?」
「親に反対されたその彼女だ。駆け落ち同然で暮らしていた。」
「…いつの間に?」
「2月かな?」
「今5月だろ?」
「12月に再会した。彼女は子供連れて、クリスマススペシャル聞きに来てた。」
「子持ち!?」
「罪を犯してしまった。…別れた時、彼女のお腹には宿っていた。一人で背負わせてしまった。今、眠り続けている娘が、一緒になることを望んでいた。」
「眠り続けている?」
「ああ。いろいろあってね。…もう覚めなくて、娘の笑顔はもう見れないかも知れない。…オレに似た笑顔。…かわいい娘。…こんな駄目な父親でも優しい笑顔でパパと呼んでくれて、甘えてくれた。…やっと会えたのに…ごめん。暗くなった。」
「…そうだったのか。」
「…もう一度娘の笑顔が見たい。」


「メッセージを読みます、この番組を聞いているだろう愛しいあなたへ、もし、少しでも聞いていたら手だけでもいいからピクリと動かしてください。横にいるママに少しでも合図してあげて。ママのお腹にはあなたの弟か妹がいるんだ。ママが悲しんで、赤ちゃん流産しそうになっている。ママを優しく包んであげて?」


その頃、茉衣は病室で茉莉に遥紀の声を聞かせていた。

「…遥紀。」

茉衣はお腹をさする。
すると、

”ピクン!?”

茉莉の腕が少し動く。

「茉莉…聞いてるの?」

茉衣は茉莉の腕を握り、

「パパ頑張ってるね。ママ、頑張って茉莉の兄弟産むね。」


遥紀が来る。

「茉莉は?」
「…遥紀。茉莉の腕、少し動いたよ。遥紀の呼びかけに反応したよ。茉莉の大好きなパパ。」
「本当?」
「はい。」

抱き寄せる。

「茉莉が起きたら入籍しよう。
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