クローバー

茉衣は、

「真田からは卒業しました。昨日入籍して三田家に嫁ぎました。茉莉はもうすぐすぐお姉さんになります。」
「え…。」

ショック。
担任は、未婚の母、茉衣に好意を抱いていたのだ。
茉衣は茉莉の担任に、

「茉莉の実の父親とです。…いけないことをしたはずなのに。…茉莉の事を知らずに生きてきた彼は、茉莉に気付いた時は追求されましたたけれど、受け止めてくれて。人を苦しめて、駆け落ち同然で暮らして、それは人から恨まれ、簡単なことではないことくらいわかっていました。茉莉の入院も。その中で築かれた命。運命を大切にしていかなくてはなりません。」

担任は感嘆する。

（この人はやはりすごい人だ）

「茉莉をこれからもよろしくお願いします。約半年の眠りから覚めて、リハビリして、歩けるようになり、まだ運動は上手くできないかも知れませんし、勉強も遅れています。私達も出来る限りの事をします。どうかよろしくお願いします！」
「ママ…。」

茉衣は頭を下げる。


夜、遥紀が帰って来る。

「ただいま。」

茉衣と茉莉は迎える。

「パパ、おかえりなさい。」
「遥紀、おかえり。」
「茉莉、茉衣、ただいま。」


遥紀達は、居間へ。

「学校どうだった？」
「明日から行くことになったの。」

茉衣は言う。

「そうか、何て言われるかなぁ、苗字。」

茉莉は、

「パパのだからいいよ。」

にっこり。

遥紀は、

「茉莉は大事な娘だからね。」

見つめ合う。
目元も似てきた。そっくり。

茉莉が眠るまで遥紀は茉莉との時間を作る。
茉莉は遥紀に、

「パパのハツコイの人ってママなの？」

遥紀はにっこり、

「そうだよ。パパはママが好きでしょうがなかったんだ。」
「…何でいなくなったの？」

涙。

遥紀は茉莉を抱き寄せて、

「ごめん…ママを守るために…ママといたら、ママに危害が加わる。ママを愛していた。パパの父親にママら殴られた。別れないと傷を付けると言われた。そんなの見てられない。…まさか、茉莉まで苦しめていたなんて、茉莉、きらいにならないでくれ、パパがどれだけ悔やんでも時間は戻らない。茉莉は大切な娘なんだ。」
「パパ…。」