クローバー
(…どうか当たらないで!?)

「これだ!えっ…と、177番、大当り!!」

茉莉が当たってしまう。

「…。」

(何て事なの…。)

「だ〜れだ?」

「ママ、行こうよ☆」
「え!?」

母は、茉莉に手を繋がれて出ていく。
母は、目を逸らしている。
それに気付いたDJ。

「ま…。」

DJは一瞬冷静さを失う。
一息つく。

(結婚していたのか…。)


茉莉は、くまのぬいぐるみが渡される。
大喜び。
握手。
しかし、母は複雑なカオ。


放送が終わる。

母はぼ〜っとしている。

茉莉は、

「ママ、トイレ行っていい?」
「う…うん。」

茉莉はトイレに入っていく。

「はぁ…、何て運命なの…?」


「茉衣!」

DJが母に話してくる。

「…三田くん…。」

知り合いのようだ。

「結婚したんだ。」
「…ええ。」
「かわいい娘さんだ。」
「…。」
「幸せそうでよかった。では仕事があるので。」
「…うん。」
「茉衣、今日は会えてよかった。」


DJは去る。
母はしゃがみ込む。
目はうるうるしている。
茉莉が出てくる。
茉莉は母の異変に気付く。

「ママ、どうしたの?カラダ悪いの?」
「う…うん…大丈夫だよ…。」


(遥紀…茉莉は…あなたの娘よ…。)


遥紀(DJになる前の姿)と別れた茉衣(茉莉の母)。
毎日部屋にこもっている。
プレゼントを眺めている。
涙。

「大好き…大好きだよ…遥紀。」

しくしく…。

家族も心配する。

「姉さん…。」

弟が来る。
茉衣は、

「一人にさせて…。」
「男なんて忘れなよ。」
「…ムリよ…。」
「僕が忘れさせてあげる。」

弟は茉衣から遥紀との写真を奪う。

「礼衣、やめて!」


ビリビリ…。


刻まれた写真。

「あぁ…。」

茉衣は涙。
弟は茉衣を抱いて、

「姉さんを泣かすなんてひどい男だ。


抜け殻になった茉衣、別れて5か月も経っていた。

朝。

「う…重い…お腹が痛い…。」

立てない。


「短大休んでいい?」


しばらくして、
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