クローバー

心が乱れたりして言えなかった。その時と悪阻が重なって、流産しかけて、安静にしてなくてはいけなかったから。」
「三田君の事、忘れたの？茉衣は三田君の事をいくら言っても気持ちは変わらないと言ってたじゃない。それでも忘れたと言うの？」
「…忘れるはずなんてない！…美咲は遥紀が結婚したの知ってしまったから私を呼び出したのでしょ？」
「うん…。」
「…あのね、私は今まで生きてきた中で遥紀としか寝てない！」
「え？どうして？」
「…遥紀に茉莉の存在を知られて問い詰められた。でも、遥紀に迷惑がかけられないのと、茉莉はずっと一人で育てていくと決めたから喋れなかった。茉莉は実の娘だと確信していた遥紀に、遥紀からのメッセージが読まれて、二人の別れた公園に呼び出されたの。今度は、甘い声で言われた。真実を言うまで待つと言われて。宵の時刻。真実を話してしまったの。…遥紀は私を抱いて、震えて泣いていて、娘に会いたいと言って、茉莉のいる家に来た。眠ってる娘に触れて、涙を流して優しいパパの顔になった。それから３人で一緒に暮らすようになった。…駆け落ちだった。幸せな毎日、側には愛しい娘と愛しい人がいて。再び結ばれるのもそう遅くなかった。遥紀と寝たの。あの時より大人になって力強かったけど。それでも優しかった。駆け落ち生活も長く続いて、ずっと一緒にいたかった…遥紀のお父様に居場所を知られるまでは…。」
「三田君のお父さんって茉衣と三田君を引き離した…。」
「…私を憎んでた。お父様に遥紀に抱き着く茉莉が見つかってしまって、憎しみは茉莉に向けられたの。…茉莉を傷付ければ私は地獄に落ちる。…遥紀の家族に誘拐された茉莉は、嫌な予感がして、茉莉を捜しに行った遥紀の目の前で血を吐いて倒れた。茉莉は父親の、遥紀の腕の中で寒いと言って、遥紀が優しく抱いたら意識を無くした。…呼吸が止まって、遥紀は茉莉に何度も応急措置をした。それを聞いた私は錯乱状態のまま病院に駆け付けたの。…泣き崩れた私を遥紀は優しく抱いてくれた。そして泣いている私に結婚してくださいとプロポーズしてくれたの。それを聞いていたお義父様やお義母様やお義兄様は何度も謝っていたみたい。私は混乱していたから気を遣っていて頂いてたみたい。…それから少しして、毎日、茉莉の側にいて、たたでさえぐったりしていた私は茉莉の側にいたまま倒れてしまったの。」