クローバー
真治は郁をぎゅっと抱いて、目隠して、

「オレは、」

ちゅっ。

「ただ一人だけ。」
「パパ、何してるの?見えないよ〜。」
「…ばか。」

真治は郁と見つめ合い、

「パパ、ママの事好きだよねぇ。」
「うん☆だって郁のパパとママだもん。」

沙衣は、

「パパに騙されてるわ…。」


郁は眠る。
沙衣と真治は甘いキスを交わす。

「明日、広田さんに会いに行こうと思う。」
「…真治を信じてる。」
「裏切るなんてしない。愛してる、沙衣。」
「私もよ。」

キス。

「この写真を持ち込む。」
「はい。」
「ごめんな…言えないヒミツのあるダメな旦那。」
「そんな事ないわ。あなたの側にいれて幸せ。」
「沙衣、かわいい郁とお腹の中のベビーちゃんがいて、こんな幸せで、感謝している。」

真治は沙衣を優しく抱き寄せて眠る。


翌日、スーツを着た真治は、雑誌の出版社へ。


「広田さん見えますか?」

尋ねる。


待合室。

「ふぅ…ネクタイは慣れない…。」

少し緩める。


編集部。

「広田さん、来客がみえてます。」

40くらいの人は、

「名前は?」
「え…っと、坪倉様という方です。」
「ああ、30くらいの男の人だね。」
「…え?私には25くらいとしか…。」
「若く見えるのだね。さすがというべきものだな。彼は結婚したのかな?まあ、それは聞くことにしよう。そういえば阿倉川君。君の御社の志望動機は何だったかな?」
「…はい。もう、辞めてしまったのですが。元モデルのShinさんです。10代の頃に、…なんか同じ男でも、惚れるというか。憧れる、すごく色気があって。見た者を虜にする…といいますか。」
「なら、着いてきなさい。君も取材の勉強だ。」
「…はい。」


待合室にて。
真治は握手して、

「広田さんお久しぶりです。」
「久しぶりだ、真治君。本当に若いなぁ。」
「もうすぐ31ですよ。」
「君もそんな年か。まず聞くが、あの時の彼女とはどうなった?」
「妻になりました。あれから1年半くらい後に結婚しました。」
「子供はいるのかい?」
「いますよ。4つになる息子と、二人目の子供がお腹にいて、もうすぐ生まれます。」
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