クローバー
る。
合う。開く。
中から出て来たのは…。

「ママ、かわいい☆」

高校時代の茉衣。後ろから茉衣をキュッと抱き寄せているのは遥紀である。

「パパ…だよね。わ…私に似てる…?」

2枚目、
茉衣は遥紀に甘えていて、遥紀も応えている。
めくっていく茉莉。
最後の1枚になると、別れる前で寂しそうで。でも関係は持っていたので、茉衣の目は潤んで色気があり、美しい。遥紀も甘くてカッコイイ。
そして、奥には手紙が入っている。


−生まれてくる愛しい赤ちゃんへ。−

この手紙を見つける時、あなたはいくつになってるの?今日、あなたがお腹にいることがわかって、お医者さんに女の子だと言われて、今この手紙を書いて、あなたがいるお腹をなでなでしでます。あ…動いた。応えてくれてるのね。パパとママの写真、先に見たでしょ?あの人があなたの父親よ。あなたはパパに似てるの?似てたらいいな。パパ、世界で一番大好きな人。だったらどうして別れたの?なんて聞かないで。事情は…。
パパはあなたの事を知らない。でも憎まないで?もし会えたら…彼はママじゃない運命の人と結婚してるのかな?ママに何かあったら…そんなの勝手ね。会いたいなんてね。勝手に産んで、いきなりパパ、なんてあの人何て言うの?ごめんね、話しすぎた。でも風化させたくない。ママとパパが愛し合ったこと。あなたを身ごもって幸せ。ずっと守るから。パパの分まで。


「ママ、パパの写真、持ってたんだ…。パパ、カッコイイ。ママ、甘えてる。ラブラブで、本当にいい写真。…ママ、私に見つけて欲しかったんだ。…だからしまったんだ。」


遥紀が来る。

「茉莉、落ち着いた?」

茉莉はにっこり笑って、

「はい。」

遥紀は、

「どうした?にこにこして。」

尋ねる。

「パパ、カッコイイね☆」
「は?何だ、いきなり。」

ギュッ!?

茉莉は遥紀に抱き着く。

「茉莉?」
「あのね、パパの写真見ちゃった。」
「え…?」

遥紀は見る。
顔を赤らめて、

「懐かしい…。何でこんなに…って、あれ?まさか…こんなに隠してあったのか?」
「知ってたの?」
「…お義父さんや義弟君に殴られて、倒れて、ここに運ばれて、目覚めたら、ママがその最後の一枚を見せてくれたんだ
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