バッドジンクス×シュガーラバー
「うちらのリーダーにはもう会った? 久浦部長」
カタカタと流れるようにキーを叩きながらの言葉に、私はうなずく。
「あ、はい、さっき廊下でちょこっと……挨拶程度ですけど」
そういえば……このオフィスではまだ見てないな、部長の姿。
植田本部長もかなり信頼しているみたいだし、会議やら取引先訪問やら、何かと任されているのかもしれない。
「そっかー。じゃあ、アノコトはまだ知らないんだ?」
「……? あのこと?」
わけがわからなくて、素直に首をかしげる。
「小糸さん、浅村と話すときは普通だよな……」ってつぶやきが隣から届いたような気がしたけれど、とりあえずそれは聞こえないフリをしてしまった。
浅村さんの、綺麗にリップが引かれた唇が弧を描く。
「あのね、久浦部長は厳しいけれど仕事はできるし、見た目もあの通り強面とはいえ整ってるんだけど。それだけじゃなくて──」
「えっ、マジかよ!!」
彼女の言葉に被さるようにして聞こえてきた興奮気味の声に、思わず顔を向けた。
声の元は、オフィスの出入口近くに置いてあるコピー機の前で雑談していたふたりの男性社員らしい。
先ほど声を発した人と並んで立つ男性が、得意げにピースサインを作る。
「マジマジ。久浦部長に頼んだら1発よ」
「うあ~くっそうらやましいな!」
「なになにー、どうしたの?」
カタカタと流れるようにキーを叩きながらの言葉に、私はうなずく。
「あ、はい、さっき廊下でちょこっと……挨拶程度ですけど」
そういえば……このオフィスではまだ見てないな、部長の姿。
植田本部長もかなり信頼しているみたいだし、会議やら取引先訪問やら、何かと任されているのかもしれない。
「そっかー。じゃあ、アノコトはまだ知らないんだ?」
「……? あのこと?」
わけがわからなくて、素直に首をかしげる。
「小糸さん、浅村と話すときは普通だよな……」ってつぶやきが隣から届いたような気がしたけれど、とりあえずそれは聞こえないフリをしてしまった。
浅村さんの、綺麗にリップが引かれた唇が弧を描く。
「あのね、久浦部長は厳しいけれど仕事はできるし、見た目もあの通り強面とはいえ整ってるんだけど。それだけじゃなくて──」
「えっ、マジかよ!!」
彼女の言葉に被さるようにして聞こえてきた興奮気味の声に、思わず顔を向けた。
声の元は、オフィスの出入口近くに置いてあるコピー機の前で雑談していたふたりの男性社員らしい。
先ほど声を発した人と並んで立つ男性が、得意げにピースサインを作る。
「マジマジ。久浦部長に頼んだら1発よ」
「うあ~くっそうらやましいな!」
「なになにー、どうしたの?」