バッドジンクス×シュガーラバー
近くを通りかかった女性社員が、興味深げに訊ねる。
それはたぶん、ふたりの会話が聞こえた人なら誰もが思った質問だ。
オフィス内のほとんどの人が、私と同じように彼らへと顔を向けていた。
「あのな、石田が久浦部長名義で懸賞に応募して、見事当選したんだってよ!!」
「へぇ! 石田くんなに当てたの?」
「ふっふっふー……」
再度問われた石田さんが、もったいぶってスーツの内側に手を伸ばす。
そうして目の前に掲げた紙切れを訝しげに見て、女性社員の顔色が一瞬にして変わった。
「うわっ、これって……! 今人気すぎて予約取れないっていうナイトクルージングのチケットじゃない!!」
「はあああ?! 石田おまッ、それちょっと俺にも見せてみろ!!」
「はっはっは、これで俺のプロポーズ作戦は大成功さ!」
「せっこー! 部長の名前使って勝ち取ったのかよ!!」
「ダセーぞ石田ー!!」
周りからの非難を「はっはっは、なんとでも言うがいい!!」と受け流し、ヒラヒラとチケットをちらつかせて石田さんは演技っぽく高笑いしている。
あちこちで笑いや野次が飛ぶ中、ガチャリと出入口のドアが廊下側から開いた。
それはたぶん、ふたりの会話が聞こえた人なら誰もが思った質問だ。
オフィス内のほとんどの人が、私と同じように彼らへと顔を向けていた。
「あのな、石田が久浦部長名義で懸賞に応募して、見事当選したんだってよ!!」
「へぇ! 石田くんなに当てたの?」
「ふっふっふー……」
再度問われた石田さんが、もったいぶってスーツの内側に手を伸ばす。
そうして目の前に掲げた紙切れを訝しげに見て、女性社員の顔色が一瞬にして変わった。
「うわっ、これって……! 今人気すぎて予約取れないっていうナイトクルージングのチケットじゃない!!」
「はあああ?! 石田おまッ、それちょっと俺にも見せてみろ!!」
「はっはっは、これで俺のプロポーズ作戦は大成功さ!」
「せっこー! 部長の名前使って勝ち取ったのかよ!!」
「ダセーぞ石田ー!!」
周りからの非難を「はっはっは、なんとでも言うがいい!!」と受け流し、ヒラヒラとチケットをちらつかせて石田さんは演技っぽく高笑いしている。
あちこちで笑いや野次が飛ぶ中、ガチャリと出入口のドアが廊下側から開いた。