バッドジンクス×シュガーラバー
「あ、こんなところに立ちっぱなしですみません。よかったら中にどうぞ……!」

「あら、いいの? じゃあお言葉に甘えて、ちょっとだけ上がらせてもらおうかな」

「はい! ワンルームなので狭いんですけど、ゆっくりしていってください」



ドアを押さえながら、家の中へと招き入れる。

ベッドと小さなローテーブルの間にひとまず腰を下ろしてもらい、私はお茶を用意しようとした。



「あ、待って憂依ちゃん。これお見舞い」



言いながら渡されたのは、大きさの違うビニール袋がふたつだ。



「すみません、わざわざありがとうございます……今日は本当に、ご迷惑をおかけしました」

「いえいえ。こっちは私からで……それでこっちの大きい袋の方が、久浦部長から預かった分ね」



思いがけなく彼女の口から出た名前に、ドキンと心臓がはねた。

そのドキドキのまま、あとに指さした袋の口をそっと開いて覗く。

ビニール袋に我がコズミック・マインドのロゴが入っているということは、これはどこかの店舗で購入したものなのだろう。

中にあったのは、500mlペットボトルのスポーツドリンクが2本、なんだか効きそうな栄養ドリンクが1本、なぜかツナマヨおにぎりがひとつ。

それから──……。
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