バッドジンクス×シュガーラバー
「部下のお見舞いにちゃっかり自分が開発した商品を入れるって、どんだけ自信家なのって感じよねぇ」
えみりさんが、私の手にあるものを覗き込んで可笑しそうに言った。
久浦部長が、お見舞いにと持たせてくれた“それ”は──彼が開発したコズミック・マインドの人気スイーツ、【贅沢エクレア】で。
『わ、私はエクレアなら、ウチの【ご褒美エクレア】が1番好きです……っ』
『なんでもねぇよ。いいからとっとと食えよ』
いつか、あの人とふたりで行ったケーキ屋さんで交わした会話が、脳裏によみがえる。
「……ふふっ」
潰してしまわないように注意しながら、そっと両手で胸に抱く。
気づけば無意識に、顔をほころばせていた。
「いいんです。大好きなので、うれしいです」
そう言った私を、一瞬きょとんとした表情でえみりさんが見つめる。
けれどもすぐに、優しく目を細めた。
「あーあ、さすが久浦部長。手にした人がそんな顔をしてくれるなら、開発者冥利に尽きるって感じね」
「え?」
彼女の言う『そんな顔』がどんなものなのか訊ねるより早く、続けてえみりさんが口を開いた。
「あ、ちなみに私が買ってきたのは、某ライバル店さんのゼリーね。私このシリーズ気に入ってるの~」
「わ、ありがとうございます! 私も実は好きで、よく買うんですよ」
「あら、それはよかった。このことは久浦部長には内緒にしときましょ」
「あはは、はい」
えみりさんが、私の手にあるものを覗き込んで可笑しそうに言った。
久浦部長が、お見舞いにと持たせてくれた“それ”は──彼が開発したコズミック・マインドの人気スイーツ、【贅沢エクレア】で。
『わ、私はエクレアなら、ウチの【ご褒美エクレア】が1番好きです……っ』
『なんでもねぇよ。いいからとっとと食えよ』
いつか、あの人とふたりで行ったケーキ屋さんで交わした会話が、脳裏によみがえる。
「……ふふっ」
潰してしまわないように注意しながら、そっと両手で胸に抱く。
気づけば無意識に、顔をほころばせていた。
「いいんです。大好きなので、うれしいです」
そう言った私を、一瞬きょとんとした表情でえみりさんが見つめる。
けれどもすぐに、優しく目を細めた。
「あーあ、さすが久浦部長。手にした人がそんな顔をしてくれるなら、開発者冥利に尽きるって感じね」
「え?」
彼女の言う『そんな顔』がどんなものなのか訊ねるより早く、続けてえみりさんが口を開いた。
「あ、ちなみに私が買ってきたのは、某ライバル店さんのゼリーね。私このシリーズ気に入ってるの~」
「わ、ありがとうございます! 私も実は好きで、よく買うんですよ」
「あら、それはよかった。このことは久浦部長には内緒にしときましょ」
「あはは、はい」