バッドジンクス×シュガーラバー
「なんだ、騒々しいな」

「あっ、部長ー!!」



重たそうな分厚いファイルを小脇に抱えながら登場したのは、渦中の人物・久浦 佑部長ご本人だ。

部長が来たとわかった瞬間、どっと彼の周りを社員たちが取り囲む。



「久浦部長! 石田のクルージングチケット当てたって本当ですか!?」

「ああ? まあな」



社員たちの勢いに押されつつ、なんでもないように答えた久浦部長の返事に、さらにオフィス内がヒートアップする。



「うわやっぱりかあー!! 俺もコンビニのクジなんかじゃなくて、もっと高望みしたもの頼めばよかった!! いやあのフィギュアは欲しかったんだけど!!」

「おまえ……あのときも言ったけどたかだかコンビニのクジひとつに、たまたま居合わせた上司使うなよ」

「部長、マジすごいっすね!! やっぱり俺がこないだコケてぶっかけそうになったコーヒー躱しただけありますね!!」

「あれな、俺の反射神経の良さもあるからな? 熱々のコーヒーは今後全力で気をつけろよ……」

「久浦部長~あのぉすみませぇん、今この雑誌で有名ブランドアクセの懸賞やってるんですけどぉ~」

「今さらかわいこぶって見せても、俺はもうおまえの男前すぎる性格は把握してるから違和感しかないぞ」

「チッ」
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