バッドジンクス×シュガーラバー
声をかけていいものか少し躊躇していると、何気なく後ろに視線を向けたえみりさんが私たちの存在に気づく。



「あ、久浦部長と憂依ちゃん! おはようございますー!」

「お? おはようございます!」



足を止めた前方のふたりが、明るく挨拶をしてくれる。

彼女たちへと近づきながら、部長と私も「おはよう」「おはようございます」とそれぞれ返した。



「あの……おふたりとも、昨日はご迷惑をおかけしてすみませんでした」



自然と4人連れ立って歩き出してすぐ、私は牧野さんととえみりさんに向かって声をかける。



「いえいえ、憂依ちゃん今日は元気そうでよかったわ」

「俺も、全然迷惑とか思ってないから」



笑顔でそんなふうに言ってくれる先輩たちにホッとして、私も頬を緩めた。

その様子を無言で眺めていた久浦部長が、不意に口を開く。



「牧野、浅村」

「はい?」



部長に呼ばれ、ふたりの返事が綺麗にハモった。

仲良しだなあ、なんてこっそり思っていたのも束の間、久浦部長が予想だにしないことを言い出す。
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