バッドジンクス×シュガーラバー
ふたりは、私の大事な先輩だ。優しくて頼りになる、素敵な人たちだ。

……嫌われたくない。

だけどこんな気味の悪い私とは、きっと今後、かかわりたくないに決まって──……。



「マジかあ~! 小糸さん、俺のことが嫌いでよそよそしかったわけじゃないんだ?!」

「なるほどね。その話聞いて、これまでの憂依ちゃんの態度にも全部納得がいったわ」



……え?

聞こえてきた声に驚いて、とっさに顔を上げた。

間抜けに固まる私に代わり、えみりさんが「憂依ちゃん、メガネずれてるわよ」と言いながらテンプルをつまんで直してくれる。

私はなんとか、震える唇を動かした。



「えみりさん、牧野さん……き、気味悪くないんですか? そ、そもそも、信じてくれるんですか……?」

「え? 信じるわよ。だって、くだらない冗談が死ぬほど嫌いなこの久浦部長が言ってるし」



あっさり答えたえみりさんの言葉に、隣の牧野さんもうんうんとうなずいている。

なるほど、こんなところでも久浦部長の信頼の厚さが遺憾なく発揮されるとは……なんて頭の片隅で思いつつも、呆然としてしまう。
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