バッドジンクス×シュガーラバー
「なによ、女同士の会話に入ってこないでよねー」
「えー、俺だって小糸さんと仲良くなりたいんだけど」
どことなく唇を尖らせて話す牧野さんを見て、ひざに置いた両手を思わずギュッと握りしめた。
……やだ、やめて。
そんなこと、言わないでほしい。
「あーあ。あんたみたいなのが近づくと、真面目な憂依ちゃんが毒されそう」
「ひでーな! これから一緒に仕事してくんだから、仲が良いに越したことはないだろ~」
……私に、関わろうとしないで。
だって、そうしたら。
……あなた、が──。
「ね、小糸さん!」
私の顔を覗き込むように、牧野さんが首を傾けた。
その表情は笑顔で。ただ、私と仲良くしたいっていう無邪気な好意しか、感じられない声音で。
……だけど。
《……だいじょうぶか? 憂依……》
過去に見た、苦しげな“あの人”の微笑みが、頭の中によみがえる。
「俺も小糸さんのこと、『憂依ちゃん』って呼んでいい? 小糸さんも、よかったら俺のこと名前で──」
「っだ、めです……!!」
思ってた以上に大きな声が出たことに、自分でも驚いた。
そしてそれは予想外なくらい、オフィス内に響き渡ってしまったらしい。
傍らには、驚いた表情で目を丸くしている牧野さんがいる。
シンと静まり返った周りの雰囲気に、私は一瞬にして冷や水をかぶったような錯覚に陥った。
「えー、俺だって小糸さんと仲良くなりたいんだけど」
どことなく唇を尖らせて話す牧野さんを見て、ひざに置いた両手を思わずギュッと握りしめた。
……やだ、やめて。
そんなこと、言わないでほしい。
「あーあ。あんたみたいなのが近づくと、真面目な憂依ちゃんが毒されそう」
「ひでーな! これから一緒に仕事してくんだから、仲が良いに越したことはないだろ~」
……私に、関わろうとしないで。
だって、そうしたら。
……あなた、が──。
「ね、小糸さん!」
私の顔を覗き込むように、牧野さんが首を傾けた。
その表情は笑顔で。ただ、私と仲良くしたいっていう無邪気な好意しか、感じられない声音で。
……だけど。
《……だいじょうぶか? 憂依……》
過去に見た、苦しげな“あの人”の微笑みが、頭の中によみがえる。
「俺も小糸さんのこと、『憂依ちゃん』って呼んでいい? 小糸さんも、よかったら俺のこと名前で──」
「っだ、めです……!!」
思ってた以上に大きな声が出たことに、自分でも驚いた。
そしてそれは予想外なくらい、オフィス内に響き渡ってしまったらしい。
傍らには、驚いた表情で目を丸くしている牧野さんがいる。
シンと静まり返った周りの雰囲気に、私は一瞬にして冷や水をかぶったような錯覚に陥った。