バッドジンクス×シュガーラバー
「会議は嘘だ。さっさと家に帰ってさっさと休め」

「え……」



刺々しい声音で放たれた言葉に目を丸くする。

会議が嘘……だったのはともかく、発言と行動が合っていない。この檻を解いてくれないと、帰ることなんてできないのに。

久浦部長が細くため息を吐いて、私に近づくように少しだけ身を屈めた。



「……不本意な誘いなら、ちゃんとすぐに断れ。それともまさか、アイツの言う通りついて行くつもりだったのか?」

「そっ、そんなわけないです……!」



それこそ本意じゃないことを訊ねられ、まっすぐに部長を見上げる。



「ちゃんと、断るつもりでした。声をかけられた理由がわかったら、一瞬固まっちゃっただけです。なんで私にって思ったけど、同期が目的なら納得だったから」

「そこ。そこもおかしいんだよ」

「え?」



久浦部長の不機嫌で端整な顔が、さらに距離を縮めてきた。



「さっきおまえ、ものすごく失礼な扱いをされてたんだぞ。ちゃんと怒れ」

「な……べ、別に私は、気にしてないので」

「気にしろ。おまえが自分へ不当な扱いをする奴に腹を立てないから、代わりに俺が、今こうして怒る羽目になってるんだ」
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