バッドジンクス×シュガーラバー
「それでおまえは、どう思ったんだ」

「……え」

「西からの告白を断って、そのあとに話してたことも聞いたんだろ? どう思った」



なぜか真摯な表情で、部長は不思議なことを言う。

……『どう』、なんて……。

また視線を逸らしながら、かろうじて答えた。



「別に……人の好みはそれぞれですし、猫系でも犬系でもそれぞれのかわいさがあっていいんじゃないですか。まあ、私には関係ないことですけど」

「は? 『関係ない』?」



突然不穏に低くなった声に、ビクリと肩を揺らす。

我ながらトゲのある言い方をしてしまったとは思ったけれど、やはり気に触ったのだろうか。

久浦部長が、剣呑な声音でさらに続けた。



「冗談じゃない。まさか、まだわからないのか?」



そう言って、あろうことか部長はすでに近かった距離をより縮めてきた。

反射的に逃げ腰になる私は、身体を部長に向けたままテーブルの端を両手で掴み、ほとんど仰け反るような形になっている。

顔を背けることが難しくなって、正面から久浦部長と視線を合わせてしまった。



「な、わ、わからないって、なにが……」

「じゃあ、この状況はなんだ?」



私の言葉を遮ってピシャリと言い放った久浦部長の強い眼差しに、息を呑む。
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