バッドジンクス×シュガーラバー
7:地味OLの試練×強面上司の懇願
1週間続いた長雨が今日は久々に止み、まだ午前中であるにもかかわらず外の気温は30℃近くもあるらしい。
オフィスの一角にある自分のデスクからは、窓の外に広がる晴れ空を垣間見ることができる。
燦々と降り注ぐ日差しに目を細めながら、俺はこの先どんどん右肩上がりになるであろう気温に思いを巡らせため息を吐いた。
「うわっ久浦部長、今なら視線だけでヒト殺せそうな顔してますよ」
傍らからそんな失礼極まりないセリフをかけてきたのは、直属の部下である牧野だ。
牧野は言葉の内容のわりにたいして怯えてもいないケロッとした表情で「この書類、確認お願いします」と、もともと大量の書類が置かれた俺のデスク上へさらに紙を積み上げる。
俺は眉間に寄せたシワもそのままに、たった今置かれたばかりの書類を手に取った。
「暑そうだなと思って、外を見ていた」
「ああ、今日久々に晴れましたもんね。けどまだ7月入ったばかりだっていうのにそんな嫌そうな顔して、どうするんですかこの先」
「駅からこのビルまで、地下道が繋がればいいと思う」
「無茶言わないでください」
軽口を叩きながらざっと目を通し、承認欄に【久浦】の判子を押印する。
そのまま書類を返せば、牧野は礼を言ったあと何か思いついたように顔を寄せてきた。