バッドジンクス×シュガーラバー
一応訂正しておけば、牧野からなんだか様々な感情が入り交じっていそうなジト目を向けられる。
かのハンムラビ法典に記された言葉にのっとってこちらも同じく視線を会話代わりに使えば、わかりやすく顔を逸らされた。
最大限表現し得る険しい表情と鋭い眼差しに込めた『言いたいことがあれば聞いてやるぞ』は、どうやら正しく伝わったようだ。
「……まあ、肉食部長の恋バナなんてこわいんで、あんまり深くは聞かないでおきます」
「人をケダモノみたいに」
ため息混じりに牧野がこぼした言葉が聞き捨てならず、反射的に返す。全然懲りてはいないようだ。
「小糸さーん! 外線3番にモリフク製茶さんからお電話です!」
そのとき、部署全体に鳴った外線の電話を受けた社員が小糸を呼んで、返事をした彼女が慌てたように自分のデスクへと戻った。
何気なく様子を眺める俺の視線の先で、受話器を取った小糸は先方といくつか言葉を交わし──。
「えっっっ?!」
突然、それまでにこやかだった表情が驚愕へと変化したかと思うと、大きな声とともにガタッと椅子から立ち上がった。
周囲の社員たちが驚いて、一斉に彼女へと目を向ける。もとから向けていた眼差しを鋭いものに変え、俺もさらに彼女の動向に注視して同時に耳をすませた。
かのハンムラビ法典に記された言葉にのっとってこちらも同じく視線を会話代わりに使えば、わかりやすく顔を逸らされた。
最大限表現し得る険しい表情と鋭い眼差しに込めた『言いたいことがあれば聞いてやるぞ』は、どうやら正しく伝わったようだ。
「……まあ、肉食部長の恋バナなんてこわいんで、あんまり深くは聞かないでおきます」
「人をケダモノみたいに」
ため息混じりに牧野がこぼした言葉が聞き捨てならず、反射的に返す。全然懲りてはいないようだ。
「小糸さーん! 外線3番にモリフク製茶さんからお電話です!」
そのとき、部署全体に鳴った外線の電話を受けた社員が小糸を呼んで、返事をした彼女が慌てたように自分のデスクへと戻った。
何気なく様子を眺める俺の視線の先で、受話器を取った小糸は先方といくつか言葉を交わし──。
「えっっっ?!」
突然、それまでにこやかだった表情が驚愕へと変化したかと思うと、大きな声とともにガタッと椅子から立ち上がった。
周囲の社員たちが驚いて、一斉に彼女へと目を向ける。もとから向けていた眼差しを鋭いものに変え、俺もさらに彼女の動向に注視して同時に耳をすませた。