バッドジンクス×シュガーラバー
「──結局、私の“ジンクス”って何だったんでしょうか」
ここ最近の休日の過ごし方といえば、もっぱら彼の家にお泊まりしてまったりするのが定番になっている。
ソファの座面に両足も載せこじんまりと座っていた私の言葉に、左隣の彼が手もとの経済雑誌から顔を上げてこちらを見た。
その顔には、デザインは違えど私と同じようにメガネがかけられていて。彼が仕事のとき以外、ほとんどの時間をそうして過ごしていると知ったのは、想いを伝え合って結ばれた日の翌朝のことだ。
あれからもう、1ヶ月くらい経つんだなあ……。しみじみと思いながら今はもう見慣れたそのメガネ姿を眺めていると、佑さんは眉間にシワを寄せて口を開く。
「どうした、いきなり。また何かあったのか?」
顔は一見こわいけど、訊ねる声音は優しい。つい頬を緩ませながら、首を横に振った。
「いえ、何もないです。うーん、何もないからこそ、改めて思ったっていうか」
「どういうことだ?」
曖昧な私のセリフに、佑さんが小首をかしげる。