バッドジンクス×シュガーラバー
「佑さんには、私のジンクスが通用しなかった。それだけじゃなくて佑さんと出会ってから、だんだんとジンクスの効力自体がなくなっていったような気がするんですよねぇ」



そこまで言って私は自分の手の中にある、つい先日無事に発売されたばかりの【和紅茶のマフィン】をひとくちかじる。

うん、美味しい。さすが【茶匠 ひさうら園】の最高級和紅茶、味も香りも文句なしだ。

佑さんは手にしていた雑誌を目の前のローテーブルに軽く放り投げると、改めて私の方へと顔を向けた。



「気になるのか?」

「それはもう、あたりまえです。ずーっと、頭を悩ませてきた“体質”なんですから」



軽い調子で訊ねてくる彼に、今度はこちらがむむ、と眉を寄せる。

そんな私の表情を見て、佑さんはなぜか笑みを浮かべた。



「わかった。じゃあ、俺が決めてやろう」

「え? 決めるって……」

「そうだな……昔、俺のこの強運の理由を『ものすごく強い守護霊が憑いているんじゃないか』と言ったヤツがいたんだが、その理論でいくか」



何やらひとりで納得したようにうなずき、彼は続ける。
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