バッドジンクス×シュガーラバー
「おまえにはもともと、力の強い守護霊が憑いていた。そしてその守護霊は、憂依の両親が離婚した際に考えたんだ。『これからは自分が父親代わりにもなって、今まで以上にしっかりこの子を守っていかなければ』と」

「えぇ?」



突拍子もない話に、思わず困惑の声を上げた。

佑さんは視線で「まあ聞け」と私を宥め、さらにすらすらと自分の見解を語る。



「その決意の結果が、“憂依と親しくした異性に何らかの嫌がらせをする”だ。守護霊は憂依に近づく男を見定め、自分が気に食わない者は片っ端から遠ざけるよう仕向けた」



非科学的な与太話を聞かせる彼は、なんだか楽しげだ。私は黙って、言葉の続きを待つ。



「そんなことが10年以上も続いた頃、現れたのがこの俺だ。当然俺のことも気に入らない守護霊は、今まで他の男たちにもそうしてきたように攻撃した」

「……だけど、効かなかった?」



つい口を挟んだ私に、佑さんはニヤリと笑ってうなずく。



「その通り。とうとう守護霊は俺の事を認めざるを得ず、そして憂依を守るにふさわしい男が現れたということで、他の男たちを品定めしては攻撃する理由もなくなり……今に至る、と」
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