バッドジンクス×シュガーラバー
突然の行動に驚く私は、ゴクンと動いた喉仏を呆気にとられて眺める。



「うん、美味いな。憂依も、ほら」



言うが早いか再び唇が重なり、今度は最初から彼の舌が口の中へとすべり込んできた。

とたん、鼻に抜ける芳醇な紅茶の香りはこのキスを余計に淫靡なものにしているようで、ますます体温が上がる。



「舌を出して……そう、上手だ」



彼の低い声に誘われるがまま、私は必死で慣れない行為に応えた。

そうすると佑さんは、うれしそうに目を甘く細めるから……恥ずかしくとも、彼の望むままに動いてしまうのだ。



「ん……たすく、さん……好きです……」



唾液を交換し合う深いキスをしながら、何度だって気持ちを伝える。

佑さんがまた、とろりと蕩けるように表情を緩めて私を見つめた。



「俺もだ。どうしようもないくらい、憂依が好きでたまらない」



初めて会ったときはあんなにこわいと思った上司が、今、こんなにも甘美な声音で私に愛をささやく。

砂糖菓子よりも甘い恋人の腕の中、私は極上の幸せを噛み締めた。










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