バッドジンクス×シュガーラバー
普段こういった行為に恥ずかしそうな表情や仕草ばかり見せている、純情な彼女だ。

そんな恋人が俺を誘惑するため身にまとった下着を、すぐに脱がせてはもったいない。

いかにして楽しもうか思考を巡らせつつ、首もとへキスを落とした俺は。



「……ん?」



違和感を覚え、動きを止める。

──……まさか。嘘だろ。

嫌な予感を胸に、おそるおそる顔を上げて真下にいる彼女の様子をうかがった。



「……すぅ」



しっかりと閉じたまぶた。安らかな呼吸音。

最愛の恋人は、清々しいほどに満ち足りた表情で眠っていた。

……この状況で、寝るとか……!!

彼女を潰してしまわないよう両腕で囲いつつも、堪らずガックリとうなだれる。

いや、なんとなく予想はできた。驚くほど下戸な憂依は、アルコールを摂取するといつも驚くべき速さとタイミングで寝落ちする。

だけど、まさかこんなシチュエーションでもあっさり意識を手放してしまうとは……今後ますます、彼女の飲酒規制を強化すべきかもしれない。



「たすくさん……だいすき……」



むにゃむにゃと口を動かしたかと思ったらふにゃりと頬を緩ませてそんなことをつぶやくものだから、ますます頭を抱える。

深くため息を吐き、軽い身体を抱え上げて正しくベッドに横たえた。



「……目が覚めたら、覚えてろよ」



かけっぱなしのメガネを外すと情欲を閉じ込めた宣戦布告を耳もとでささやき、こめかみにキスをする。

幸せそうな顔で眠り込む彼女は、翌朝、図らずも残酷な生殺しを食らわせた自分の恋人にたっぷり甘い責め苦を味わわされることを、まだ知らない。










/END
2020/1/7
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