バッドジンクス×シュガーラバー
そのまま付属の女子大に進んだ私は、できるなら就職も女性の多い業種にしようかとも考えたのだけど……ダメ元で受けたこのコズミック・マインドから運良く内定をもらい、私をここまで育ててくれたシングルマザーの母が大喜びしてくれたこともあって、もともと自分が1番好きなコンビニだった憧れの大企業に勤める決意を固めたのだ。

そんな自分の事情を、小さな声でポツポツと語った。

久浦部長は、私の話を黙って聞いている。うつむく私には、部長が今どんな表情をしているのかわからない。

少なくとも、突然こんな話をされていい気分ではないはずだ。眉間にシワを寄せ、またあの険しい顔で私のことを見下ろしているのだろうか。

私の中の、1番心に残っている嫌な記憶のことは口にしなかった。

それだけは、まだ、誰にも言えないまま胸の奥底に隠しておくしかできない。



「……おまえの言い分は、わかった」



降ってきた低い声に、ビクリと肩を揺らす。

おそるおそる顔を上げると、久浦部長は馬鹿にするでも呆れるでもなく、思いのほか真摯な表情で、私のことを見つめていた。

その反応は予想外だったから、驚きからかドキンと大きく心臓がはねる。
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