バッドジンクス×シュガーラバー
今回の試食は、夏に販売予定のマンゴープリンだ。

原材料の産地や配合などを微妙に変えた様々なサンプルの中から、1番理想に近いものを吟味する地道な作業を繰り返していく。

消費者に好まれる味の傾向は、時代に応じて変化する。

このマンゴープリンも去年の同じ時期に販売したものをベースに、よりブラッシュアップすべくマンゴーの品種や生クリームの配合を見直しながら、試行錯誤している真っ最中だ。



「よし。プリン部分の採用がこれで、トッピングに使うのはこっちね。牧野くん、手配頼むわ」

「了解ー」



パティシエさんを交えた話し合いに私もなんとか意見を出して参加しながら、無事最終的な使用食材が決定した。

牧野さんはスイーツグループの原材料仕入れ担当だ。開発担当者の要望をもとに品質・コスト・物流の面を鑑みながら各生産者やメーカーと交渉し、調達する役割を担っている。

えみりさんと私は、洋菓子開発の担当。ちなみにスイーツグループの中には、他にも和菓子やアイスを担当する社員がいる。



「で。憂依ちゃんは、いつまでそのスプーンを大事そうに握りしめてる気なのかな?」

「……あっ」
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