バッドジンクス×シュガーラバー
「はっ?! おい、小糸」
「うっ、うう~~~」
「待て、一体何が……ああくそ、こっちに来い!」
堪えきれず嗚咽まで漏らし始めた私の左手首を、久浦部長が掴む。
それから私の顔を晒さないようにするためか、反対の手を後頭部に回して自分の胸に引き寄せると、そのまま歩き出してどこかへと連れていく。
たどり着いたのは、重い扉を隔てた非常階段だ。
ガシャンと音をたて、背後で扉が閉まる。
私の両肩に手を置いて長身を屈めた久浦部長が、顔を覗き込んできた。
「どうした、急に。どこか痛むのか?」
「ひ、久浦、部長が……っ」
心配そうな表情で訊ねられ、その優しい言葉にますます涙をあふれさせながら、私はなんとか口を開く。
「部長が、無事で……っよ、よかったあ」
言いながら、左肩に置かれた大きな手を自分の右手でギュッと掴んだ。
すぐ眼前の久浦部長が、不意を突かれたように目を丸くする。
それからすぐ「ハッ」と息を吐き出しながら、口もとを緩めた。
「そうか。俺がなかなか出社してこないから、不安だったのか?」
声にならず、コクコクとうなずく。
なぜだか久浦部長は、うれしそうに笑ってそんな私を見つめていた。
「うっ、うう~~~」
「待て、一体何が……ああくそ、こっちに来い!」
堪えきれず嗚咽まで漏らし始めた私の左手首を、久浦部長が掴む。
それから私の顔を晒さないようにするためか、反対の手を後頭部に回して自分の胸に引き寄せると、そのまま歩き出してどこかへと連れていく。
たどり着いたのは、重い扉を隔てた非常階段だ。
ガシャンと音をたて、背後で扉が閉まる。
私の両肩に手を置いて長身を屈めた久浦部長が、顔を覗き込んできた。
「どうした、急に。どこか痛むのか?」
「ひ、久浦、部長が……っ」
心配そうな表情で訊ねられ、その優しい言葉にますます涙をあふれさせながら、私はなんとか口を開く。
「部長が、無事で……っよ、よかったあ」
言いながら、左肩に置かれた大きな手を自分の右手でギュッと掴んだ。
すぐ眼前の久浦部長が、不意を突かれたように目を丸くする。
それからすぐ「ハッ」と息を吐き出しながら、口もとを緩めた。
「そうか。俺がなかなか出社してこないから、不安だったのか?」
声にならず、コクコクとうなずく。
なぜだか久浦部長は、うれしそうに笑ってそんな私を見つめていた。