バッドジンクス×シュガーラバー
「昔……私と両親の3人で出かけた、帰り道で。手放してしまった風船を追いかけて道路に飛び出した私が危うく車に轢かれそうになったところを、間一髪で父が助けてくれたんです」



当時のことを思い出すたび、罪悪感で胸が苦しくなって、呼吸が上手くできなくなる。

私は両手で頭を抱え、きつく目を閉じながらますますうつむいた。



「私ではなく父が車にぶつかって、私を守るように抱きしめたまま硬いアスファルトを転がって……気づいたときには血で真っ赤に染まった父が目の前で苦しそうにしているのを、私は腕の中から呆然と見ていました。……幸い命は助かりましたが、ひどいケガで何ヶ月も入院することになって……父の退院の少しあとに両親は離婚して、私は母に引き取られました」



そこまで一気に話し、深く息を吐く。



「……それからです。私が、自分にかかわった異性に不幸を呼び寄せてしまうことに気づいたのは……」

「まさか、そんなことは」

「私のせいなんです。私は、昔からトロくて要領が悪くて……きっと父も、そんな私に嫌気がさしてたはずです。そのうえ、大ケガまでさせて……だから両親の離婚だって、きっと私の……全部、私が悪いんです……っ」
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