バッドジンクス×シュガーラバー
降ってきた言葉が予想外すぎて、思わず顔を上げてしまう。

久浦部長は驚くほど真摯な表情で、私のことを見つめていた。



「でも、これで証明されただろ。おまえのジンクスは、俺には当てはまらない」

「そ、それは、たまたま今回だけじゃ……っ」

「大丈夫だ。俺は、今までおまえの周りにいた男たちのようにはならない」



あまりにも自信たっぷりに断言され、唖然とする。

押し黙った私を見下ろして、久浦部長はふんわり笑った。



「だから、俺のことは他の男にしているように避けるな。普通に目を見て、普通に話せばいい。かかわることに、罪悪感なんて持たなくても──周りを守っておまえばかりが傷ついたりしなくても、いいんだ」



まるで、それまでモノクロだった世界に鮮やかな色がついたような衝撃だった。

向けられる優しい表情とセリフに胸が高鳴って、頬が紅潮する。

今度は別の意味で言葉を失った私のひたいを、部長の長い指が不意に小突く。



「いつもそうやって、顔を上げていろ。……少なくとも、俺の前では」

「で……でも、」



納得しきれず反論の声を上げようとした私に、久浦部長がどこか蠱惑的な笑みを浮かべた。
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