俺様御曹司はウブな花嫁を逃がさない

何をバカなことをと言わんばかりに笑った紬花に、陽は額に手を当てて「嘘だろ……」と零す。


「心配しないでください。寝袋もちゃんと持ってきたので!」

「そんな心配はしていない。俺は俺の生活が脅かされることを心配している」

「見てください御子柴さん。このエプロン私が作ったんです。どうですか?」

「ティアードデザインのエプロンか。上半身部分はスッキリさせていてバランスいい……って、そんな話しはどうでもいい!」

「そうでした! さっそくお掃除しちゃいますね! 掃除機お借りします」


自作エプロンを着けた紬花が、いそいそと掃除を始めるのを見て陽は深いため息を吐き、まさかの住み込みに心を落ち着けるべく、少しだけぬるくなったコーヒーに口をつけたのだった。







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