俺様御曹司はウブな花嫁を逃がさない

もっとうまくやらなければと反省しつつ迎えた四日目。


(他に何かいいアイデアないかなぁ……)


エトワールの隣に並ぶカフェの窓際、二人用のテーブル席。

ひとり、昼食をとり終わった紬花は、ティーカップを両手で包むと、温くなった琥珀色の紅茶をひとくち味わった。

いつもランチはあゆみと一緒なのだが、昨日届く予定だった生地が一日遅れで今日の午前中に届いたらしく、その影響で裁断や縫製の作業に遅れが出てしまい、ランチは別でとなったのだ。

本当はあゆみに陽を癒すためのいいアイデアはないかと知恵を借りるつもりだったのだが、仕事ならば仕方がないと肩を落とし人々の行き交う街を眺める。


(……御子柴さんが喜ぶことってなんだろう)


陽は昼前にエトワールを抜け、今は病院で骨折した腕の経過を診てもらっている。

夕方まではかからないと聞いているが、十五時から予定している長谷川との打ち合わせは、採寸のみの予定なので、今のところ紬花とあゆみが対応することとなっていて特に問題はない。

故に、今、紬花の中で問題なのは、陽に何もしてあげられていないことのみだった。

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