俺様御曹司はウブな花嫁を逃がさない
【6】スイートウェディングします!
初めて、自分がデザインしたウェディングドレスが形になった。
といっても、まだ仮縫いのものだが、それでも紬花のテンションは上がり、試着する花嫁の長谷川を上機嫌に見守る。
試着に立ち会う白衣を纏ったあゆみは、ドレスの背中部分の浮きを微調整し終えると、紬花の隣に並んだ。
「横から見たラインはどう?」
「バッチリです。ありがとうございます」
親指と人差し指で丸を作った紬花の返事に、あゆみは笑みを浮かべた。
「オッケー。なっちゃん、裾の調整終わったら教えて」
「はい」
アシスタントの女性に声をかけて、今度はバックリボンを調整する準備に取り掛かる。
帯紐を手にしたあゆみが、「ね、ゆいちゃん」と声を潜めて紬花を呼んだ。
手伝いが必要なのかと思ったのだが、あゆみの瞳は楽し気に細められる。
「御子柴君との交際もバッチリ順調なわけ?」
「バ、バッチリ、です。って、あゆみさん、今仕事中ですから!」
「ごめーん。でも気になるのよー。御子柴君てば、聞いてもぜんっぜん教えてくれないのよね」