【完】今日もキミにドキドキが止まらない



席に着いて身を縮める。
顔を上げるのさえも怖かった。



「あの動画、どうなったか聞いてみる……?」


「やめなよ。SNSにはあがってなかったんだから。刺激するのはやめとこ」


女子はみんなはそのことが心配のようだった。


そして、私が驚いたのは橘さんが孤立していたことだ。

一人席に座る橘さんの周りには誰もいない。

いつもは、あんなにたくさんの女子に囲まれていたのに。



「動画なんて撮られたらウチらもやばいし」



頭に血が上るとなにをするかわからない、と一軍から外されてしまったらしい。



「てか、逢坂くんも、もういないしね?」



そしてなにより私が驚いたのは、逢坂くんが転校してしまったことだった。


冬休みに入ってすぐのことだったらしい。
クラスの誰にも告げずに……。


< 110 / 313 >

この作品をシェア

pagetop