【完】今日もキミにドキドキが止まらない
席に着いて身を縮める。
顔を上げるのさえも怖かった。
「あの動画、どうなったか聞いてみる……?」
「やめなよ。SNSにはあがってなかったんだから。刺激するのはやめとこ」
女子はみんなはそのことが心配のようだった。
そして、私が驚いたのは橘さんが孤立していたことだ。
一人席に座る橘さんの周りには誰もいない。
いつもは、あんなにたくさんの女子に囲まれていたのに。
「動画なんて撮られたらウチらもやばいし」
頭に血が上るとなにをするかわからない、と一軍から外されてしまったらしい。
「てか、逢坂くんも、もういないしね?」
そしてなにより私が驚いたのは、逢坂くんが転校してしまったことだった。
冬休みに入ってすぐのことだったらしい。
クラスの誰にも告げずに……。