【完】今日もキミにドキドキが止まらない
「工藤くんに待っててって言われるなら、例え昨日流れてきた例の噂があろうと、私は待ってるよ……!」
「……は?噂?」
眉をひそめる工藤くんに、私はゴクリと喉を鳴らして頷いた。
なにやら一昨日、放課後の非常階段でそれは“出た”らしい……。
そして昨日も普通科の階で人影が揺れ「誰っ!」と、声をかけると、それは瞬時に消え去ったと言うのだ……。
ガタガタと震えながら零士くんが昨日の帰り道に教えてくれた話しを伝えると。
「バカ。幽霊とかいるとでも思ってんの?」
「だ、だって……」
「そんな目に見えない物より台風のが危険だろ」
……工藤くん、正論だ。
バカらしいとでも言いたげに工藤くんは靴を履き替えた。
「うろうろすんなよ?放課後、教室で待ってて」