【完】今日もキミにドキドキが止まらない
「ねぇ、工藤くん。勝負しない?」
「勝負って明日の期末?」
「違うよ?今からわたしと勝負してほしいってこと」
唐突に提案した日野原さんの声はなぜだか既に弾んでいた。
「なに企んでんの?」
「えへへっ。まだ内緒でーす」
昨日、普通科を訪れた時とはまるで別人で、甘えるような可愛らしい声だった。
こんなところで二人の会話を聞いてる私がいけないと思いながら、心の中がもやもやして苦しくなる。
「それ時間とんの?だったら別の日にして。彼女待たせてるから」
外に降りしきる豪雨の音が響く中、工藤くんの声は鮮明に聞こえた。