【完】今日もキミにドキドキが止まらない
「はい、また時間切れでーす。ふふっ。工藤くん、すごく困っちゃってる。彼女の好きなところくらい、すぐにでも答えてあげないと春川さんが可哀想だよっ?」
日野原さんの楽しそうな声は悪意を持って私の心に刺さってくる。
耳を塞いでしまいたい。
もうここにはとても居られない。
教室へ引き返そうとしたその時だった。
「困ってるよ」
「あははっ。だよねー?春川さんの好きなところ、なんて言われても、なかなか出てこな……」
「足りなすぎじゃない?」
「た、足りない……?」
「日野原が与えるこれっぽちの時間じゃ、俺がアイツを好きな理由なんて言いきれないんだけど?」