【完】今日もキミにドキドキが止まらない
「逢坂瞬です」
どこかで聞き覚えのある声だった。
逢坂、瞬……?
名前も声も、私の聞き間違いかと思った。
まさか、あの逢坂くんなわけがないって。
彼はゆっくりとこちらへ足を進めてくる。
「春川ー。お前の後ろの席が空いてるだろう。色々と教えてあげるようになー」
寄りにもよって私の後ろの席だなんて……。
横綱のバカ、と思いながら俯いた。
そのまま私の席の横を通り過ぎていく……のだと思っていたら。
ピタリと足を止めた気配に恐る恐る顔を上げる。
「あ。やっぱり春川だ」
その声で、見間違えでも聞き間違いでもなく、確信に変わった。
あの頃より背が伸びて、ずっと大人っぽくなった逢坂くんが私の前に現れたから。
「………逢坂、くん?」