【完】今日もキミにドキドキが止まらない
「……逢坂くん」
「どうした?春川、元気なくね?」
逢坂くんが真っ先に私の顔を覗き込んだ。
心配そうな表情をさせてしまったのは、考えごとをしていたせいかもしれない。
「……彼氏となんかあったか?」
言葉に詰まったけれど、それでも私はううんと首を横に振った。
「……ごめんね。ちょっと、考えごとしてただけ。ありがとう逢坂くん」
「ならいいけど」
靴を履き替えた逢坂くんはまだ腑に落ちないのか、もう一度私を見つめた。
これ以上、追求されたらきっと私は素直に白状してしまうかもしれない。
どこか探るような逢坂くんに、私は曖昧に微笑んでみせる。