【完】今日もキミにドキドキが止まらない
クリスマスか……。
工藤くんと過ごせない時点で例え世間はクリスマスでも私からすればただの平日も同然。
そりゃちょっとはクリスマスを一緒に過ごせるかもって期待していたけど。
昨日の出来事が蘇る。
工藤くんが心配でそれどころではない……。
なんとか気持ちを切り替えたくてSNSを開く。
#クリぼっちを恥じるな
#画面の向こうには俺達がいるだろう?
#【悲報】クリスマスなのにフられた
なにを見てもなにをしていても心が踊ることはなかった。
ああ……もう夕方だ。
宮野先生との面談は終わったかな……?
工藤くんからのメッセージをちょっぴり期待しつつ、スマホをつけたり消したりを繰り返している。
「ねぇ。あんたなにしてんの?今日はクリスマスだよ?デートは?まさかクリぼっち?」
「……」
メイクをしながらニヤリと笑うお姉ちゃんと、鏡越しで目が合った。
ゾワッ……と身震いを起こす。呪われそう。
とは言えるわけもない。
「う、うるさいなぁ……」
「はーん。その様子じゃ、作戦も虚しく彼に惨敗したんでしょ?」
「っ、私は、工藤くんが進路のことで悩んでて……今日も面談だし……」
「あーらら。可哀想に」
見る度に顔面のアップデートに磨きをかけるお姉ちゃんをこっそり睨む。
「……ふん。お姉ちゃんはデートでしょ。私のことは気にせずアプデ……じゃなくて、メイクを続けてください」
「もちろんそのつもり。好きな人からの“可愛い”のために、努力を惜しまないのが女子でしょ」
“可愛い”のため……。
ついつい頷いてしまいそうになった。