【完】今日もキミにドキドキが止まらない
「……はぁ。なんで俺転校してきてまで好きな女の彼氏から惚気られてんだよ。しかも、クリスマスだってのに」
くしゃくしゃと髪をかきあげて、逢坂くんがツリーに背中を向けた。
「春川。こいつにお前が言ってたこと教えてやれよ。秀才だけど、そういうことはお前から言ってやんないとわかんないみたいだぞ。やっぱり意外とバカかもな?」
工藤くんに、バカ……だなんて言えるのは、この世で逢坂くんくらいだよ。
逢坂くんは私だけを見て、「頑張れ」と、口を動かした。
すぐにうんと頷いた私を見て去っていった逢坂くんの背中は、人混みにのまれてあっという間に見えなくなった。