【完】今日もキミにドキドキが止まらない
ど、どうしよう……。
私の話しなんてまるで聞いちゃいない……。
「外は寒いしどこで食べよっか?」
そして、二人の男子が私の脇を固めた直後、
「人のもんになにしてんの?」
いきなり飛んできた声に弾けるように顔を上げれば、教室のドアに背中を預けた工藤くんが立っていた。
「人のもんって。えっ、この子、まさか工藤の彼女……?」
「やべっ、マジか……」
悪かったな、と小さく謝罪の言葉を漏らす二人は、そそくさと教室の中に入っていった。
「えと、いきなり来てごめんなさい……!」
頭を下げた後チラリと盗み見ると、工藤くんの不機嫌なオーラがビリビリと伝わってきた。
やっぱり、いきなり来たら迷惑だったのかな……。
「……行くぞ」
はぁっ、と大きな溜め息をつくと工藤くんは私の手を引っ張った。
途端に鼓動が加速を増していく。
工藤くんに手をひかれて立ち去る寸前。
特進科の教室の中にいるさっきの美人な女の子と目が合ったけれど、あっという間に見えなくなった。