【完】今日もキミにドキドキが止まらない
午後の授業はほとんど上の空だった。
今もなお、昼休みの話がぐるぐる頭の中を旋回している。
あんな綺麗なお姫様がずっと隣にいたなら、工藤くんが私のことなんて覚えてなくても当然かもしれない。
もちろん、それを私から切り出したことだって今までないけれど。
だからこそ、いっちゃんに前に話した通り、工藤くんはきっと私の存在に気づいていないだろう。
私が、工藤くんと出会った日のことも……。
* * *
それは中学三年生の12月。
膝下よりもずっと長いスカート丈、きっちり後ろでひとつに結んだ髪型。
まるで校則通り。
そんな言葉がピッタリ当てはまるあの頃の私。
周りを見渡してひっそりと息を潜める。