【短編】俺の言うこと聞けないの?
「俺の知らないところで会ってるの?」
「えっと…」
そっか。
昔からの仲とはいえ、今は壱夜と付き合ってるんだし私の行動は軽率だったかも…。
そう思っても、もう遅くて。
「ごめ…「今日はここに泊ってきなよ」
謝ろうとした私の言葉に、壱夜はそうかぶせてきた。
「いや、でも…」
「なんで?昔はよく泊まってたじゃん。母さんも喜ぶよ」
でもそれは本当に小さい時の話で…。
それにこれから理央が来るって、今言ったよね…?
「でも急だし…」
「明日休みだし。もっといっぱい勉強教えてあげれるよ」
壱夜は、まるで私の意見は聞く耳ないって感じで。
その冷たい態度とは反対に、壱夜は愛おしそうに私の頭を撫でる。
「でも理央が…「泊まって行きなよ」
有無を言わせない壱夜の言葉は、やっぱりちょっとだけ怖い。
なのに、心臓の音が自分でも分かるくらいドキドキしていた。
壱夜にそんな事言われたら従わない訳にはいかないじゃん…。
理央ごめん、って心で謝りながら、私は黙って頷いた。
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