クズの間に生まれた子どもはクズなのか?
「俺たちの可愛い子どもに早く会いたいね」

「あなたの子どもなら喜んで産むわ」

ホテルの一室で、そんなことを言いながらキスを交わす。そして、ベッドに倒れこんだ。

将吾に触れられた時は、必ず五十鈴くんと触れ合った。五十鈴くんとのキスも行為も幸せで満たされていく。

そして、私は妊娠した。スティックの赤い線がお腹に命を宿していることを告げる。もちろん私と五十鈴くんの子どもだとわかっている。

私が妊娠したことを告げると、将吾は「跡取りだ!」と言い、「孫だ!」と彼のお母さんが喜んだ。あなたたちとは血はつながっていないのにね。

将吾が私の妊娠を喜んだのはその時だけで、あとは何も変わらなかった。病院に一緒に行くことはなかったし、相変わらず妹と戯れている。

「俺たちの子ども!!」

五十鈴くんに告げた時、五十鈴くんは涙を流して喜んでくれた。病院でもらったエコー写真を見て、「ちっちゃいな。早く会いたいな。名前、どうしようか?」と微笑む。立派なお父さんの顔だ。
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