クズの間に生まれた子どもはクズなのか?
「生まれてきてくれて、ありがとう」

私は涙で目を潤ませ、赤ちゃんに微笑む。そしてすぐに五十鈴くんに赤ちゃんの写真を送った。すると電話がかかってくる。

「う、生まれたの!?」

「ええ、さっき」

「すごく可愛い……。会いたい……」

「ええ、会いに来て」

「ありがとう、玲。俺たちの子どもを産んでくれて……」

「名前、決めなくちゃね」

五十鈴くんは涙声だった。私はとても嬉しくなる。この人を愛していてよかった。

将吾から、名前は私がつけるように言われていた。彼もきっと、母のように子どもに無関心なのだろう。

私は五十鈴くんと話し合い、子どもを善(ぜん)と名付けた。この子はいい人になってほしい。困っている人に手を差し伸べられるようになってほしい。そんな思いを二人でこめた。

将吾は生まれたばかりの赤ちゃんを見て、「ふ〜ん、俺の子なんだ」という態度だったが、五十鈴くんは「可愛い!さすが俺と玲の子ども!」ととても喜んでくれた。
< 18 / 21 >

この作品をシェア

pagetop