苦くて甘い夜
5月21日
高校生2年生なり、数日たった今新しいクラスにも慣れ日々淡々と過ごしていた。
そんな今日は早くも中間テストの日である。
理系クラスは文系クラスよりも選択科目が少ないため2時間で帰れるのが幸いだと思い、昨夜頭に叩き込んだ生物の単語をぶつぶつと呟いていた。
すると後ろの席から、肩をとんとんとつつかれて
「お前勉強した?目の下のクマすごいよ(笑)」
と笑いながら言うコイツは、葛西倖一(かさいこういち)全くもってデリカシーのない男である。
でも、私はそんな遠慮ない倖一の行動に不快感を感じたことは1度もない。むしろ、初日に意気投合し遊びに行くほどだった。
「うるさいなぁ。そんなこといってると女子にモテないよ?」
「ばーか。んなこと気にする前に自分の心配した方がいいんじゃないですか?」
むっと来た私だったが、これ以上言い返しても屁理屈を言われるだけで拉致があかないと思い言い返すのをやめた。
倖一は意外と頑固物で、自分の意見を絶対曲げないいわゆる〝めんどくさい〟人なのだ。
「また、朝から喧嘩してんの?こりないなぁ」
この子は、小学生の時にトルコから日本に来たという可愛い女の子だ。アイラといって、元気で素直な所が好きでアイラといると毎日が楽しく、学校で一番仲いい友達。
「違うよ。喧嘩売ってきたのこっち」
後ろ指を刺された倖一は、何か言い返していたが私はそれどころじゃなかったのでまた言わせておいてあげた。こんなことに時間を裂くなんてもったいない。間違って赤点でもとってしまったらとんでもない。
「はいはい。落ち着きなよ、テスト終わったら皆でご飯食べようね」
いつの間にか話が発展してアイラと倖一が言い合いしていた所を、凛が仲裁に入っていた。
2年生になってからはこの男女4人でよく連むようになりお互いに気を使わないでいられ、とても楽で昔からの友人かのように接している。
「テスト始めるから席につけー」
先生の合図で、転々としていたクラスメイトが自分の席へと散らばってゆく。
結局、アイラや主に倖一のせいで集中出来なかったから出来なくてもしょうがないだろう。と心の中で密かに私は思い、先生の始めという合図で一斉にペンをはしらせた。
結局、
私は頭を抱えながら解くはめになった。
「疲れたぁ!!ここの問題ってこうだよね?」
と、達成感に満ち溢れているアイラを横に私は疲労感でいっぱいだった。お昼ご飯を食べながら、テストについてあれこれ討論していると、
「あぁ、ここはワークのベクトルの問題で同じのでてたもんな。」
アイラは学年1位2位を争うくらい頭が良く、倖一もアイラ程ではないが勉強すればそれなりに頭が良い。
二人の会話についていけてない私ともう1人…
「凛は出来た?」
凛は、凄く真面目でメガネもかけているし(確実に偏見である)見た目は頭が良さそうなのに、私よりも頭が悪いので多分クラスでも順位は下から数えた方が早いだろう。
涙目で、首を振る凛をみてこれ以上追求するのはやめておいた。赤点ではないことを祈ろう。
あ、ふと思い出した事があった。
私は3人に相談したいことがあったのだ。
「あのね、びっくりするかもしれないけど私今セクハラ被害?みたいなのにあってる…んだよね」
「は?どういうことだよ」
さっきまで、テストの話に夢中だった倖一がピリピリしているのが伝わってくる。
まずい。倖一は怒るとめんどくさいのだ。言うタイミングを間違えたなと後悔したがもう遅い。誤魔化そうとしても倖一には効かない。
「それが、バイト先の先輩が凄く距離感近くて、後ろから抱きついてきたり手を握ろうとしてきたり…若干胸触られたり」
好きな人の前で、クズの話をしなければならないのだ。幻滅されて嫌われたら一生呪ってやる。きっといい解決方法を見つけてくれると思ったから相談したけど、男なんて所詮女の胸と顔しか見てないのだろうとつくづく思う。
「これから毎日バイト終わり迎えに行くから、まず店長にいってシフトずらしてもらおう。」
「うちからも店長に言っとく!!晴香可愛いし優しいから狙われてるんだよ。今度睨んどこ」
「最低だなそいつ。さてどうやって裁こうか」
アイラはバイト先が一緒なので情報を根回ししてくれるという。
凛は倖一と作戦会議をしていた。あまり派手にやらないで欲しいと思いながらも、私のために怒って、行動してくれる3人がさらに好きになった。
「ありがとう」
少し照れくさいが、お礼くらい言わねばと言ったが当たり前だろと返されてしまった。
なんて心強い友なんだろう。幸せでいっぱいだ。
今はまだ、この事が原因であんなことになるとは誰もおもっていなかった。
高校生2年生なり、数日たった今新しいクラスにも慣れ日々淡々と過ごしていた。
そんな今日は早くも中間テストの日である。
理系クラスは文系クラスよりも選択科目が少ないため2時間で帰れるのが幸いだと思い、昨夜頭に叩き込んだ生物の単語をぶつぶつと呟いていた。
すると後ろの席から、肩をとんとんとつつかれて
「お前勉強した?目の下のクマすごいよ(笑)」
と笑いながら言うコイツは、葛西倖一(かさいこういち)全くもってデリカシーのない男である。
でも、私はそんな遠慮ない倖一の行動に不快感を感じたことは1度もない。むしろ、初日に意気投合し遊びに行くほどだった。
「うるさいなぁ。そんなこといってると女子にモテないよ?」
「ばーか。んなこと気にする前に自分の心配した方がいいんじゃないですか?」
むっと来た私だったが、これ以上言い返しても屁理屈を言われるだけで拉致があかないと思い言い返すのをやめた。
倖一は意外と頑固物で、自分の意見を絶対曲げないいわゆる〝めんどくさい〟人なのだ。
「また、朝から喧嘩してんの?こりないなぁ」
この子は、小学生の時にトルコから日本に来たという可愛い女の子だ。アイラといって、元気で素直な所が好きでアイラといると毎日が楽しく、学校で一番仲いい友達。
「違うよ。喧嘩売ってきたのこっち」
後ろ指を刺された倖一は、何か言い返していたが私はそれどころじゃなかったのでまた言わせておいてあげた。こんなことに時間を裂くなんてもったいない。間違って赤点でもとってしまったらとんでもない。
「はいはい。落ち着きなよ、テスト終わったら皆でご飯食べようね」
いつの間にか話が発展してアイラと倖一が言い合いしていた所を、凛が仲裁に入っていた。
2年生になってからはこの男女4人でよく連むようになりお互いに気を使わないでいられ、とても楽で昔からの友人かのように接している。
「テスト始めるから席につけー」
先生の合図で、転々としていたクラスメイトが自分の席へと散らばってゆく。
結局、アイラや主に倖一のせいで集中出来なかったから出来なくてもしょうがないだろう。と心の中で密かに私は思い、先生の始めという合図で一斉にペンをはしらせた。
結局、
私は頭を抱えながら解くはめになった。
「疲れたぁ!!ここの問題ってこうだよね?」
と、達成感に満ち溢れているアイラを横に私は疲労感でいっぱいだった。お昼ご飯を食べながら、テストについてあれこれ討論していると、
「あぁ、ここはワークのベクトルの問題で同じのでてたもんな。」
アイラは学年1位2位を争うくらい頭が良く、倖一もアイラ程ではないが勉強すればそれなりに頭が良い。
二人の会話についていけてない私ともう1人…
「凛は出来た?」
凛は、凄く真面目でメガネもかけているし(確実に偏見である)見た目は頭が良さそうなのに、私よりも頭が悪いので多分クラスでも順位は下から数えた方が早いだろう。
涙目で、首を振る凛をみてこれ以上追求するのはやめておいた。赤点ではないことを祈ろう。
あ、ふと思い出した事があった。
私は3人に相談したいことがあったのだ。
「あのね、びっくりするかもしれないけど私今セクハラ被害?みたいなのにあってる…んだよね」
「は?どういうことだよ」
さっきまで、テストの話に夢中だった倖一がピリピリしているのが伝わってくる。
まずい。倖一は怒るとめんどくさいのだ。言うタイミングを間違えたなと後悔したがもう遅い。誤魔化そうとしても倖一には効かない。
「それが、バイト先の先輩が凄く距離感近くて、後ろから抱きついてきたり手を握ろうとしてきたり…若干胸触られたり」
好きな人の前で、クズの話をしなければならないのだ。幻滅されて嫌われたら一生呪ってやる。きっといい解決方法を見つけてくれると思ったから相談したけど、男なんて所詮女の胸と顔しか見てないのだろうとつくづく思う。
「これから毎日バイト終わり迎えに行くから、まず店長にいってシフトずらしてもらおう。」
「うちからも店長に言っとく!!晴香可愛いし優しいから狙われてるんだよ。今度睨んどこ」
「最低だなそいつ。さてどうやって裁こうか」
アイラはバイト先が一緒なので情報を根回ししてくれるという。
凛は倖一と作戦会議をしていた。あまり派手にやらないで欲しいと思いながらも、私のために怒って、行動してくれる3人がさらに好きになった。
「ありがとう」
少し照れくさいが、お礼くらい言わねばと言ったが当たり前だろと返されてしまった。
なんて心強い友なんだろう。幸せでいっぱいだ。
今はまだ、この事が原因であんなことになるとは誰もおもっていなかった。